1999.12.3 更新
(since 1999.12.3)
空欄補充問題作成 お試しページ
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使い方
空欄補充問題にしたいテキストファイルを用意する。
空欄にしたい語句の前後を半角アスタリスク「*」で囲む。
それを、[元のテキスト]に、貼り付ける。(コピーしておいて、右クリック「貼り付け」。あるいは、[ctrl+v])
下にある「デコード」ボタンをクリック。
アーラ不思議、新しいページに空欄補充問題+解答欄+正解が表示される。
問題数や空欄個所に不満があれば、ページを戻して[元のテキスト]欄のテキストを修正して、「デコード」ボタンをクリック。
新しいページを、[ctrl+A][ctrl+C]でコピーして、ワープロやエディタの編集画面に貼り付けて、お使いください。
[元のテキスト]欄を空白にしているページは
こちら
です。
[元のテキスト]
蜜柑 芥川龍之介 ある曇った冬の日暮れである。私は横須賀発上り二等客車の隅に腰を下ろして、*ぼんやり*発車の笛を待っていた。とうに電灯のついた客車の中には、*珍しく*私の外に一人も乗客はいなかった。外をのぞくと、薄暗いプラットフォームにも、今日は*珍しく*見送りの人影さえあとを絶って、ただ、*檻に入れられた*小犬が一匹、時々*悲しそう*に、ほえたてていた。これらはその時の私の心持ちと、不思議なくらい似つかわしい景色だった。私の頭の中には言いようのない*疲労*と倦怠とが、まるで雪曇りの空のような*どんより*した影を落としていた。私は外套のポッケットへ*じっと*両手を突っ込んだまま、そこに入っている夕刊を出して見ようという*元気*さえ起こらなかった。 が、やがて発車の笛が鳴った。私はかすかな心の*くつろぎ*を感じながら、後ろの窓枠へ頭を*もたせて*、目の前の停車場が*ずるずる*と後ずさりを始めるのを待つともなく待ち構えていた。ところがそれよりも先に*けたたましい*日和下駄の音が、改札口のほうから聞こえだしたと思うと、間もなく車掌の何か*言いののしる*声とともに、私の乗っている二等室の戸が*がらり*と開いて、十三、四の小娘が一人、*慌ただしく*中へ入って来た。と同時に一つ*ずしり*と揺れて、おもむろに汽車は動きだした。一本ずつ目をくぎって行くプラットフォームの柱、置き忘れたような運水車、それから車内のだれかに祝儀の礼を言っている赤帽・・そういうすべては、窓へ吹きつける煤煙の中に、*未練がましく*後ろへ倒れていった。私はようやく*ほっとした*心持ちになって、巻煙草に火をつけながら、初めて*ものうい*まぶたをあげて、前の席に腰を下ろしていた小娘の顔を*一瞥*した。
1問あたりの選択肢の数(多いと難しい)